2017年のセンター試験は本試・追試とも第1問は小問3つ構成で配点が30点でした。小問1つあたり10点の計算で、ここで時間をかけてしまうとかなり後がカツカツになってしまうので、時間との勝負になってきそうですね。
その中でもハマると怖いのが「集合と論理」「命題」です。第1問の[2]はまさにそれなんですが、時間をかけすぎて他の問題に手がつけられない・・なんてことがないように注意したいですね。
では(1)の解説から。
(1)命題の真偽判定
2つの命題があり、その真偽を調べる4択問題になっています。
命題A「aが無理数で1+a2=b2ならば、bは無理数である」
真を調べるのはなかなかムズいので、まず「偽かどうか」調べましょう。偽かどうか調べるには、反例があるかを調べましょう。何かないかな~と思いながら、とかどうだ!と思って代入すると、1+a2=1+3=4になって、b2=4でb=±2となり、あっさりbが有理数になってしまいました。反例が1個見つかったので、これは「偽」だと。
次。命題Bを調べましょう。
命題B「aが有理数で1+a2=b2ならば、bは有理数である」
これも反例見つけられそうな気が。a=1にしたら、1+a2=1+1=2になって、b2=2でとなり、bが無理数になってしまいます。反例が見つかったから、これも「偽」だなと。
ということで答えは3番の「命題Aは偽、命題Bは偽」になったわけなんですが、これ、「両方とも偽かよ!!何かあるんじゃないの?他に・・・」と疑心暗鬼になって代入と計算を繰り返して時間のロスをしないようくれぐれもご注意を。反例が1個見つかった時点で偽ですから、ね・・。
(2)必要条件・十分条件、逆・対偶
必要条件・十分条件・必要十分条件に関して、正誤を選ぶ問題です。センター試験の数学1Aでは、2つの条件pとqがあるときに、「pはqであるための( )」という問題を設定があり、カッコの中には「必要条件である」「十分条件である」「必要十分条件である」「必要条件でも十分条件でもない」の選択肢を穴埋めさせるパターンが続いたのですが、今回は正誤判定です。英語や国語、社会理科と同じで1個1個の正誤を正確に把握していく必要があります。
選択肢1
a-1≦b≦a+1とa=b、若干分かりづらい不等式が含まれています。そんな場合は、(厳密には数学2の範囲ですが)aやbをx,yに置き換えて、領域の問題にすり替えてしまえば見やすくなったり、解りやすくなったりします。
ということでa=x,b=yとして、x-1≦y≦x+1(青色の斜線部分)とy=x(赤色の直線部分)を図に表していきます。
「x-1≦y≦x+1は、x=yであるための十分条件である」ということは
x-1≦y≦x+1 → x=y
が常に成り立つということ・・あれっ?(1,1.5)とか、青色の枠内(x-1≦y≦x+1)に入っているのに、赤色の線上(y=x)にない部分がありますね。ということは反例ここにあり。×でしょうね。
選択肢2
選択肢1番と同じように、a=x、b=yとして、図示してみます。
x-2≦y≦x+2が青色の斜線部分、x-1≦y≦x+1が赤色の斜線部分です。「x-2≦y≦x+2は、x-1≦y≦x+1であるための必要条件である」ということは、
x-2≦y≦x+2 ← x-1≦y≦x+1
つまり、赤色の部分に入っていれば、青色の部分に入っているということ。これは図から明らかでしょうね。これは○ということになりそう。
選択肢2
命題「a-1≦b≦a+1→(a=1かつb=1)」の逆は・・・という問題ですが、逆と言ったら矢印を単純に反対向きにすることなので
a=1かつb=1 → a-1≦b≦a+1
ということになるでしょう。そうなると、選択肢は「a=1かつb=1」ではなくa=1またはb=1となってますので、これは×ですね。
選択肢3
そうなってくると、4つのうち正しいものが2つあり、2つ正しくないので、消去法でこうなってしまうわけですが、「対偶は逆の裏」で考えると、「a-1≦b≦a+1→(a=1かつb=1)」の逆がさっきも出したように「a=1かつb=1 → a-1≦b≦a+1」。
「a=1かつb=1 → a-1≦b≦a+1」の裏は「a≠1またはb≠1 → (b<a-1またはa+1<b)」となり、一致するので○となりますね。「a-1≦b≦a+1じゃない部分はどこなのか?」は、選択肢1で描いた図から判断するのも良いと思います。